スーパーダイン

スーパーダイン
「スーパーダイン」は、富士輸送機工業(現フジテック)が1973年(昭和48年)頃に発売したと考えられる、規格型(標準型)エレベーターの商標です。

スーパーダインの出典は?


夢は壮大 想いは熱く フジテック60年の軌跡


これは、フジテックが2010年に発行した 「夢は壮大 想いは熱く フジテック60年の軌跡」の59ページです(一部強調済み)

1973年(昭和48年)、『交流帰還方式のエレベータ「スーパーダイン」は、日本住宅公団の公式認可を受けて拡販体制に入っていった』

この文章から、1973年時点で「スーパーダイン」が存在していたこと、そして、スーパーダインは「交流帰還制御」だということがわかります。 しかし、どんな意匠なのか、正確にいつ発売されたのか、前後の文脈からも読み取ることはできません。

保守部品の供給終了に関するお知らせ(2012-03-30版)
引用:「保守部品の供給終了に関するお知らせ(2012-03-30版)

フジテックが現在公開している部品供給停止案内に「SDN」との機種の記載があり、「スーパーダイン」のことと思われますが、これによると1973年~1980年まで製造されているようです。

フジテックの広告
引用:1975年10月発行「エレベータ界(10巻40号)


1975年10月当時のフジテックの広告です。
交流二段制御より乗り心地の良い交流帰還制御であることが強調されています。かご内意匠も鮮明に確認できます。

フジテックの広告フジテックの広告
引用:1976年4月発行「エレベータ界(11巻42号)


1976年4月の広告です。
乗場操作盤意匠が確認できます。現在では残存していないと思われる2台並列群乗合仕様です。
「交流帰還制御方式エレベータ SUPERDINE」とあり、ここでもスーパーダイン=交流帰還制御だということがアピールされています。


フジテックの広告
引用:1977年1月発行「エレベータ界(12巻45号)

スーパーダインの仕様です。
積載は6名450Kg~11名750Kgまでの範囲がスーパーダインとなり、速度は分速45m~120mまで対応しています。
スーパーダインからは住宅用のR型も加わっています。

ここまでの資料で交流二段制御について一切触れられませんでしたが、実際には交流帰還制御のスーパーダインと、交流二段制御での意匠の差別はなく、同じ意匠が使われています。
交流帰還制御か交流二段制御かどうかは意匠で判別できず、動作音と挙動で確認するほかありません。

フジテックの広告

現在残っているスーパーダイン意匠のうち、大半は交流二段制御か制御更新機となっており、未更新の交流帰還制御機ほぼ皆無に等しく、正真正銘の「スーパーダイン」発見は困難を極めます。
以上の理由により、交流二段制御の意匠を含めて、スーパーダイン意匠の変遷を以下に掲載します。


〈初期〉富士輸送機時代
1973年(昭和48年)~1974年(昭和49年)頃

乗場乗場

こちらは1973年製の交流二段制御、スーパーダイン意匠ではかなり初期のものです。

乗場操作盤乗場呼びボタン

乗場操作盤
ボタンのデザインはフジペットを踏襲しています。

かご操作盤

かご内操作盤
ボタンはフジペットと同じように見えます。

かご操作盤かご操作盤

「FUJI」ロゴがあるはずですが、紛失しています。
フジペットでは外部連絡手段が「非常ベル」と「非常電話」でしたが、スーパーダインでは「非常ベル」と「インターホン」通話方式へ進化しています。

インジケーター天井

フジペットでは操作盤と一体になっていたインジケーターは、ドアの上へ移動しています。
天井は末期のフジペットの照明カバーを変更した程度の違いしかありません。

かご操作盤

操作盤の下部には操作スイッチを収めた蓋があります。

かご操作盤

こちらは製造年不明の交流二段制御ですが、旧社名ロゴなことから1974年以前と思われます。

かご操作盤

フジペットと同じロゴが取り付けられています。

〈中期〉フジテックへ社名変更後
1974年(昭和49年)~1979年(昭和54年)頃

かご操作盤

1975年頃の交流二段制御です。

かご操作盤操作盤蓋

楕円形のエンブレムになりました。左に赤い富士山ロゴ、右にFUJITEC。
何も書かれていなかった操作盤蓋の取っ手に、「手前に引きさげて下さい」との表記がされるようになりました。

〈後期〉富士山ロゴが無くなる
1979年(昭和54年)頃~

かご操作盤

こちらは1979年頃のリレー式交流帰還制御、正真正銘の「スーパーダイン」です。
フジペット時代から半透明がかったようなボタンでしたが、白色のボタンになりました。

かご操作盤

富士山ロゴが無くなります。

かご操作盤

操作盤には機械彫刻で文字が彫られていますが、その書体が1979年頃を境に変化します。
左は1978年頃までの書体。角ばった「はね」のある書体で、「煙」の「西」等に特徴が見られます。
右は1979年頃以降の書体。角が丸くなり、「はね」も無くなっています。

〈末期〉リレー制御からマイコン制御化
1979年(昭和54年)頃~

フジテックの広告
引用:1979年7月発行「エレベータ界(14巻55号)

1979年頃、従来よりリレー制御だったスーパーダインは、制御回路がマイコン化されます。


かご操作盤

1980年頃のマイコン式交流帰還制御です。
マイコン化による意匠の変化はないので、交流二段制御と同様に、見た目では「リレー式交流帰還制御」か「マイコン式交流帰還制御」かどうか判別不能です。
「スーパーダイン意匠」で「ロイヤルスーパーダイン」の駆動音が聞こえれば、それは「マイコン制御のスーパーダイン」ということになるでしょう。

かご操作盤

最末期、1981年頃のマイコン式交流帰還制御です。

かご操作盤

1980年には後継意匠の「ロイヤルスーパーダイン」が登場している為か、「ロイヤルスーパーダイン」と同じロゴプレートになっています。
(ロゴ交換の可能性もあります)

参考文献